この頃、朝晩の寒さが身に染みてくる。
11月。冷えた空気を感じながら、仕事からの帰り道、疲労感を抱えて、特に理由もなく遠回りしてしまう。夕方の喧騒が収まり、街灯が静かに照らす道をぶらぶらと歩くのが好きなのかもしれない。夜風の中にふと混ざる夕飯の匂い、誰かが家で話している声や台所から聞こえてくる料理の音、すれ違う人たち。なんてことはない、どこにでもあるような一瞬の風景が、どこか温かくて、懐かしい。
季節が移り変わるのを感じるたびに、今年もあっという間だったなと感じながら、普段あまり振り返らないようなことや、その頃の自分だったり、感情まで思い出してしまう。
今月は、11月30日の土曜に「れんが倉庫の夜」を開催する。月に一度のソロライブ。誰も心待ちなんてしていないのは分かっているけれど(笑)、それでも、音楽が持つ可能性を信じてもいて、少し不思議な気分になる。人数は多くない。満席の時もあれば、3人の時もあった。でも、来てくれる人がいるというのはありがたいことだと心から思う。来る人がそれぞれの思いを胸にして、自分の曲を聴いてくれていることを想像すると、少し緊張もするけれど、感謝の気持ちを込めて、精一杯、音楽でお返ししたいと思っている。
演奏する曲は、もちろん何度もリハーサルを重ねてきたものだけれど、いつも通りにはならない。その時の自分、その瞬間の気分みたいなものが、自然と音に現れる。お客さんとの距離感もそう。いつも探り探りだ。だからライブの度に「今回はどうなるんだろうな」と自分でも思う。
歩きながら、当日の自分の気持ちを少しずつ考える。日々の中で見過ごしがちな、ありふれた瞬間が曲の中に溶け込んでいるのかもしれない。仕事や生活で行き詰まることがあっても、こうした小さな景色が、自分にとってのエネルギーになっているんだろうなと感じる。
家に戻ると、決してきれいとは言えない、生活感の溢れる部屋で、ぼんやりとライブのことを思い浮かべる。きっと来てくれる人たちも、それぞれに日々を抱えている。その日、れんが倉庫の白い壁に響く音が、ほんの少しでも誰かの日常に寄り添えるようなものになればいいな、と思いながら、毎回、心が静かに高鳴っている。
いつも無理なく、日常の一部として音楽に触れてもらいたいと願って続けてきたこのライブ。だからこそ、ふと聴きたいなと感じた時に足を運んでいただけると嬉しい。
寒い中ではありますが、来られる方には、温かい音楽のひと時をお届けできればと思っています。音楽は、ただそこにあるだけで、聴く人それぞれの心に異なる景色を見せてくれるものだから。
11月30日、れんが倉庫でお待ちしています。
ちなみに年内のライブは、12月21日(土)に「れんが倉庫の夜」、28日(土)にロビンズネストを予定しています。
ブログを書くつもりが結局告知になってしまって、もうまい。
追伸
自分も翔一もリョウチンも、少しずつ次に向かっています。
なかなかうまくはいかないだろうけど、諦める気はないというか。
変わらず岩崎さんにも支えてもらっています。